春はあけぼの!清少納言の情景描写が教えてくれる枕草子の文章術

こんばんは

拓です。

 

 

春はあけぼの やうやう白くなりゆく山ぎは 少し明かりて 紫だちたる雲の細くたなびきたる

 

枕草子で最も有名な『春はあけぼの』から始まる冒頭部分。

 

実はこの枕草子冒頭部分にこそ、清少納言のライティング術が如何なく発揮されているのです。

 

春はあけぼのから見えてくる枕草子ライティングの真骨頂。

清少納言が繰り広げる情景描写の素晴らしさをお伝えします。

 

 

春はあけぼの

ではまず、『春はあけぼの~』の意味を現代風に訳してみましょう。

 

春は明け方が趣がある!

徐々に白み始める空、遠くに見える山の稜線が少しだけ明るくなり始める風景。

その周りに紫がかった細い雲がたなびいている景色はとっても風情があります。

 

このようになります。

 

簡単に言うと、春の明け方を切り取った情景描写ということになります。

 

少し遠くに見える山の稜線から朝日が顔を覗かせた瞬間の風景です。

 

では、この描写の注目すべき点を確認していきましょう。

 

 

鮮やかな色の描写で視覚的効果を狙う

現代語訳の2行目を見てみましょう。

 

徐々に白み始める空遠くに見える山の稜線が少しだけ明るくなり始める風景。

 

注目したいのは、上で示した赤字の部分。

 

『白みはじめる空』

 

『白』という明確な色が登場します。

これがとっても重要です。

 

『白』という具体的な色を表現することで、読み手は頭の中でその情景をハッキリとイメージ出来るようになります。

 

例えば・・

『明るくなり始めた空』という文章があったとします。

なんとなく情景は思い浮かぶけど、それがどのくらい明るいのか?空の表情はどんな感じなのか?

『明るい』という事実は分かりますが、具体的な情景は読み手によってバラバラになってしまいます。

 

では『白みはじめる空』はどうでしょうか。

空に少しだけ太陽が顔を出す。

すると暗闇だった空が徐々に白くなり始める。

 

『白』という具体的な色を表現することで、太陽が顔をだした瞬間の情景が想像できます。

単なる文章が、色を入れることにより、読者がその情景を想像しやすくなります。

 

 

ではもうひとつ見てみましょう。

その周りに紫がかった細い雲がたなびいている景色はとっても風情があります。

 

ここでは『紫』が登場します。

 

夜明けの余韻がまだ残る真っ暗な空。

山の稜線は太陽が顔を出し、白くなり始めている。

黒から白へ・・・

 

その中間にある色、それが紫です

 

白→紫→黒

 

夜明けの一瞬をとらえたこのグラデーション表現により、清少納言が目にした景色は、読み手の脳裏にハッキリと浮かび上がります。

 

文章の中に色を織り交ぜることは、読み手が視覚的にイメージしやすくなるので、とっても効果的なのです。

 

 

動きがあることで情景を想像できる

もう一度2行目を見てみましょう。

 

徐々に白み始める空、遠くに見える山の稜線が少しだけ明るくなり始める風景。

 

今度は別の部分を赤字にしてあります。

 

『徐々に』と『少しだけ』です。

 

これになんの意味があるのか?

実はこれ、読み手が頭の中で想像する上でものすごく重要な事なんです。

 

『徐々に』と『少しだけ』、この言葉が入ることで情景に動きが出ます。

文章に深みが増します。

 

試しに『徐々に』と『少しだけ』、さらに『色』の表現を消してみましょう。

 

遠くに見える山の稜線が明るくなり始める風景。

 

なんか味気なくないですか?

 

これに『徐々に』や『少しだけ』を加えると表現に動きが付き、どんな状況なのかがイメージしやすくなります。

さらに『色』を入れることで、視覚的にもイメージしやすくなります。

 

徐々に白み始める空、遠くに見える山の稜線が少しだけ明るくなり始める風景。

 

こんな感じで、『動き』と『色』を追加することで、とっても深みのある文章にすることが出来るんです。

 

 

例えばこんな表現

では、清少納言のライティング術を参考に、いくつか例を挙げてみましょう。

意識的に情景を表現している箇所を太字にしてみます。

 

  1. 目の前には、汚いポストがある。
  2. 目の前には、少し古びた赤いポストが佇んでいる

 

  1. 夕暮れ時の空。
  2. 太陽が沈みかけオレンジ色に染まる夕暮れ時の空。

 

  1. 足元には大きな穴が開いている。
  2. 足元には吸い込まれそうなほど真っ暗で巨大な穴が口を開けている

 

  1. 綺麗な海が広がっている。
  2. 水面が光を反射してキラキラ輝き真っ青な海がどこまでも続いている

 

どうでしょうか?

2.の方が情景をイメージしやすいのではないかと思います。

 

こんな感じで表現すると、文章がグッと引き締まりますよ!

 

 

清少納言の情景描写

枕草子で最も有名な『春はあけぼの』

小難しい単なる古典と思いきや、その中身には現代でも通用するライティング術が散りばめられています。

 

 

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